それを愛だというのなら
ただ、恋がしてみたかった。
ただ、素敵な男の子とちょっとドキドキするような体験をしたかっただけ。
それなら、他の人にするべきだった。
きっと健斗は、あの日渡り廊下でうずくまっている私を見て、一目で病気だと気づいたんだ。
元カノさんのことを思い出さずにはいられなくて、私を保健室まで運んでくれた。
そんなことを知らず、告白した私に、『病気じゃなきゃいいよ』なんて言ったっけ。
最初はちょっとひどいなと思っていた。
病気で痩せた私に魅力がないから、単に病気の人間と付き合うのは重いからだと解釈していた。
だけど本当は、そうじゃなかった。
もう、好きな人を病気で亡くすことに耐えられなかったから。
付き合って、うっかり好きになって、なのに病気が再発して死なれたりしたら、もう再起できない。
もう、傷つきたくない。
そう思っていたんだろう。
なのに、私は……。