それを愛だというのなら


そっか。やっぱりやりたくて引き受けたものじゃないから、やる気しないか。人には向いてるものと不向きなものがあるよね。


「でも私は楽しみにしてるね。健斗の王子様」

「……休めよ、文化祭」

「えーっ」


体育祭も文化祭も、健斗の雄姿が見たいから参加する気満々だったんだけど。

頬を膨らませると、眉を下げて笑った健斗が私の頭をなでる。


「うそ。一緒に回るんだろ?」

「うんっ」


友達のいない一匹狼の見た目ヤンキー少年と、ガリガリの闘病少女が並んで歩くのって、とても愉快そう。

傍から見たら、ものすごく精神を病んでいそうな二人じゃない? 変な漫画みたい。

夏休みが終わったあと、通常の学校生活にちゃんと適応できるのか少し不安だけど、楽しみな行事もあるから、きっと頑張れるよね。

私はひとりじゃない。健斗もいるし、友達もいる。


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