それを愛だというのなら


「ほんと、何がどうしたのかなあ。お母さん、まだ信じられない」

二人きりでエレベーターに乗り込むと、お母さんはそう言った。


「奇跡じゃない?」

実は死神と契約しただなんて言えないけどね。

さあ、今日は検査で一日無駄にしてしまった。

明日からは、好きなことして過ごすんだ!


「見て見て~、お母さ~ん」

「ちょっと瑞穂!」


昨日までの私とは別人のように、体が軽い。

うわっほほ~い、こんなに体が軽いのなんて、中学の時以来! 健康っていいなあ!

エレベーターから降りるなりゴムサンダルで病院内をスキップすると、通りかかった外来の看護師さんに叱られた。

仕方ないので病院内は我慢して、建物から出るなり、また全力でスキップしてやった。



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