それを愛だというのなら
「ど、どうでしょう」
「まだご飯しか食べてない」
「あああ、そうでしたか……」
彼氏に作ったものを食べてもらうのって、けっこう緊張するんだなあ……。
本当は持ち帰れるようなお菓子を作りたかったんだけど、お母さんに『お菓子は計量を細かくしないと大失敗するし、面倒臭い過程が多いし焼く時間がかかるから、お弁当の方が簡単』と言われ、仕方なくお弁当にしたんだけど。
去年はチョコも食べられなくて、サツキたちも気を遣って友チョコ交換もいっさいしなかった。
くそう、食べられなくても作る練習はしておけば良かった。
「どうした? 自分の弁当食べないの?」
「ハッ。食べる、食べるよ」
後悔の涙を飲んでいる場合じゃない。お昼休憩には限りがある。
そうして自分のお弁当の蓋を開けるときにふっと水沢くんのお弁当箱を見て、ビックリした。
すでに、米粒一つから敷きつめておいたサニーレタスまで、綺麗に完食していたから。