それを愛だというのなら
自分が将来何をしたいのか、わからない人はきっとたくさんいるだろう。
でも水沢くんは、見えない将来を手探りしているというよりは、全てを諦めてしまっているように見える。
水沢くんから、私の問いに対する答えは出てこなかった。
「私もさ、前までそうだったよ。病気のせいで、結局就職してもうまくいかないのなら、進学したって仕方ないじゃないかって」
「炎症を繰り返すんだっけ。やたら入院してたらクビになるよな」
「それ以前に、雇ってもらえないの。何の特技もないし。だから、留年しない程度に勉強して、卒業したら適当にアルバイトか家でできる内職みたいなものを探して、食いつないでいこうと思ってた。ずっと薬に頼らなきゃならないから、出産も難しい。そこを理解して結婚してくれる人なんて見つかるのかな。そう考えたらすごく怖いの。私、いつかは世界でひとりになっちゃうんだろうって」
鼻からチューブを通した、孤独な内職老人。
それが私の将来像だった。