それを愛だというのなら
「でも、元気になった今なら、なんだってできるような気がするんだ」
私に、“将来”なんてないけれど。
死ぬ気になったら何だってできるような気がする。
最後の期末テストくらい、お母さんに喜んでもらえる点を取りたいな。
せっかく高校に受かったのに、入退院を繰り返して、成績が良いときなんてなかった。
これじゃ進学は難しいと言われ、どれだけお母さんに心配をかけたことか。
「ふうん……そっか」
はっ、しまった。
何自分のことばっかりべらべらしゃべってるんだろう。ウザいと思われちゃうよ。
そう心配したけれど、見上げた水沢くんは優しく微笑んでいた。
「じゃあ、俺も生まれ変わったつもりで頑張ろうかな」
「えっ?」
「ちょっと勉強してみようかな」
うそ。何その早すぎる心変わり。
ちょっと戸惑うけど、全てを諦めてしまっている彼より、何かをしようとしている彼の方がよっぽど好きだ。
「じゃあ、日曜に一緒にやらない? 図書館かどこかで」
「ああ、いいよ」
まさかの承諾!
いいじゃない、図書館で一緒に勉強するなんて、めっちゃ高校生カップルっぽい!
こうして私たちは、休みの日に市立図書館で会う約束をして別れた。
ようし、最後のテスト、頑張るぞ!