それを愛だというのなら


そして迎えた日曜日。


「……服がない!!」


制服はウエスト部分にアジャスターがついているけど、私服はガリガリの自分に合っているものばかり。

スカートもパンツも入らず、仕方なくワンピースに。

しかも、花柄のシフォンワンピとかじゃなく、Tシャツが長くなっただけのようなやつ。

可愛いと思って買ったけど、これって男子ウケとかどうなのかな……。

まあ、仕方ないか。これしかないんだもん。

開き直ってそのままバスに乗り、市で一番大きい中央図書館へ向かった。

古い建物の前には、意味不明な鏡張りのオブジェが。

壁も一部がガラス張りになっており、雑誌や新聞を閲覧する人の姿や、その奥に並んだ本棚が丸見えだ。

久しぶりに来るその図書館の入口付近まで歩き、ドキドキしながら水沢くんを待つ。

もうすぐ、約束の十時。

来るかな? 来るよね?

もしかして、“そんな気分じゃなくなった”とかいうメールが来たらどうしよう。


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