それを愛だというのなら


基本優しいのに、ふと気まぐれな風のようにつかみどころがないように感じる彼のこと。

一緒に勉強しようなんて思ったの、一時の気まぐれだったのかも。

そんな心配をしながら、キョロキョロと周りを見まわしていると……。


──ドドドドドドドド。


うるさいエンジン音が辺りに響き、何事かと駐車場の入口の方へ目をやる。

すると、そこには中型の黒いバイクに乗った人が。

まさかと思ってそちらを凝視していると、バイクのライダーがフルフェイスのヘルメットを脱ぐ。

そこに現れたのは、茶髪でピアスをした彼。


「み、水沢くん……!」


まさかのバイク。原付ではなく、バイク。

彼は駐車場にバイクを置き、すたすたとこちらに歩いてきた。

暑苦しそうな黒のライダースジャケットの胸のファスナーを開けながら。


「時間通りだろ?」


彼は私を見つけ、まっすぐにこちらへ歩いてきた。

茶髪にピアスにライダースジャケットを着た彼はとても目立っていて、周りがじろじろと水沢くんを見ている。

けれど私は、そんな彼を全然恥ずかしいとは思わなかった。


< 63 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop