それを愛だというのなら
「家まで送るよ」
「えっ」
意外。そんなこと、言いだすとは思わなかった。
「でも、うちここからバスで二十分くらいかかるよ」
水沢くんのバイクを押して行くには遠すぎるし、ここにバイクを置き去りにするわけにもいかない。
「おいで」
水沢くんは私を手招きする。
そして、自分のバイクの傍へ歩いていった。
そのミラーには彼がかぶってきたヘルメットがかけてある。
「これ、俺のお古だけど」
そう言って彼は、今まで見ていなかったシートの横にかけてあったらしい別のヘルメットを差し出す。
これを……差し出されたということは……。
「う、後ろに乗ってもいいの!?」
「うん。大丈夫、俺誕生日めっちゃ早いから」
「誕生日?」
どういうことかと詳しく聞くと、中型バイクに乗れるのは十六歳から。彼は高一ですぐ免許をとり、それから一年経っているので、普通の道路での二人乗りは法律的に問題ない。そういうことみたい。