それを愛だというのなら


なにそれ。何の努力もしてないけど、なんとなくわかるってこと? それって天才じゃない?


「瑞穂と反対。覚えることがいっぱいある教科の方が苦手。国語みたいな、正解がぼんやりしているものとか」


そうか……さすが理系。そういう人もいるのね。

その後は、一方的に私が水沢くんに数学を教えてもらい、一日が過ぎていった。

途中お腹が空いたときは図書館内にある小さなカフェでサンドイッチを食べた。

その後水沢くんは帰りたがるだろうと思ったのに、意外に自分から二階の学習室へ戻っていったのだった。


「今日はどうもありがとう」


すっかり私につき合わせることになってしまった。

水沢くんは、自分のテスト勉強を全然していない。


「ううん。真剣に聞いてくれるから、こっちも楽しかった」


微笑む彼が、天使に見えた。

こんなに頭がいいのに、人生捨てるとかもったいなさすぎる。

じっと見上げると、水沢くんは突然こう言った。


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