それを愛だというのなら


「そもそも、あいつとどこで知り合ったのよ。全然接点ないはずじゃない」


私の質問には答えず、鼻息を荒くするヒトミ。

仕方なく保健室に運んでもらったあの日のことから、今までのことをさらっと話した。

もちろん、死神くんのことは省いて。


「保健室まで運んでくれた……そうなんだ……」


ヒトミは信じられないというような顔をしていた。


「私には、健斗がそんなに悪い人間だとは思えないんだけどな」


怖い女子から助けてくれたし。

普通の人でも、あの場面に出くわしたらスルーか逃走かどっちかだと思う。

たしかにあの時の鋭い目つきは、普通の人のものとは違ったけど。


「でも、変わり者であることは絶対だよ。エスカレーター式の名門私立中学から、こんな公立の学校に来るなんて、絶対何かやらかして退学になったからだよ」

「えっ」


健斗って、エスカレーター式の私立中学出身だったのか。

その情報もどこまで本当かわからないけど、思い当たる節もある。


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