それを愛だというのなら
夏の夕方はまだ日が高く、肌がじりじりと焦げるように暑い。
気づけば、駅はすぐそこに。
駅前の商店街に差しかかり、急に周りの空気がざわざわと騒がしくなる。
駐輪場まで一緒に行こうと、並んで歩いていると……。
「おいおい、こんなところで自転車二台で並んで歩いていたら邪魔だろ」
もっともな指摘を受け、びくりと肩が震える。
その言葉は、前方から歩いてきた別の高校の制服を着た男子生徒たちから浴びせられたみたい。
にやにやと笑うその顔に、良い感じは一切受けない。気味が悪い。
「あー……じゃあ、ここで。またね」
目線で帰れと私に命じた健斗は、一人で自転車を引いて先へ歩いていく。
変な人たちに絡まれたらいけないと思ったんだろう。
どうしようか躊躇して、結局帰ることが一番懸命かと思い、方向を変えると……。
「あらら、だれかと思ったら水沢くんじゃないか」
そんな声が聞こえ、思わず振り返る。
すると、先ほど私たちに声をかけた高校生たち四人が、健斗を囲んでいた。
なにこれ……。