それを愛だというのなら
その学校の代名詞のような深緑色のブレザーを着ていたらすぐにわかったんだろうけど、今は夏。白いカッターシャツだから、なかなか気づかなかった。
けれど、腕にある刺繍はたしかにその学校の校章だし、ズボンはブレザーと同じ深緑色をしている。
女子男子ともに濃紺の地味なうちの生服とは違い、細部のデザインが凝っていた。全身から、お金持ち感が立だっている。
逆にただの白いシャツに濃紺のズボンの健斗と、白いセーラーに紺の襟とスカートの私は、どこにでもいる高校生という感じ。
「何だよ、生意気だな。バカのくせに」
「おいおい、何興奮してんだよ。せっかく会ったんだから、どこかでゆっくり話をしよう」
メガネをかけた、いかにも優等生という感じの男子が、興奮した仲間を笑顔でなだめる。
「するわけ──」
「せっかくだから、彼女も一緒にどう?」
あっと思った時には、もう遅かった。
私の自転車を、男子二人がつかんで押さえてしまう。
どうしよう。これじゃ身動きが取れない。