それを愛だというのなら


幼等部から受験して入るエスカレーター式の学校で、そのほとんどがお金持ちの子だという噂。

お金があって、頭が良くなきゃ、そんな私立の学校に幼等部から大学までいけないもの。

もしかして健斗ってどこかの御曹司なのか?


「そうなんだ」

「うん」

「じゃあどうして、今は私と同じ高校にいるの……?」


おそるおそる聞いてみる。

言いたくないと言われれば、追及はしないつもりで。


「三条にいる意味を見失ったんだ」


いる意味を見失った? それってどういうこと? いったい何があったんだろう。

頭の中でぐるぐると考えを巡らせてみるけど、正解にたどりつくはずもない。

もしかして、同級生に会いたくなくて、電車通学じゃなくバイク通学していたのかな。


「色々あってさ。勉強も三条の生徒っていう肩書も、何もかもどうでもよくなって、ドロップアウトしたんだ。あいつらにバカにされても仕方ない」


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