それを愛だというのなら


人それぞれ、理由はある。

私がこうして生きているのだって、『どうしてわざわざ自分で寿命を縮めるんだ』って嗤う人もいるだろう。

けれど、私にとっては、こうして健康な毎日を送れることが、何より大事なんだ。

だって、健斗は病気の私だったら付き合ってなんかくれなかったでしょう?

棒きれみたいなやせっぽちで、夜は鼻チューブして寝ている彼女なんて、嫌でしょう?

健斗は言っていたもんね。

『病気じゃないんなら、付き合ってもいいよ』って。


「私は、昔の健斗は知らない。今の健斗が好き。だから、あの人たちにバカにされて、すごく悔しい!」


にやにやと、人を見下したようなあの顔たち。

私が死神くんの魔法でマッチョになっていたら、絶対に殴ってやったのに。

健斗は自分で絶対に認めないだろうけど、絶対優しいもん。それだけで、生きている価値がある。

他人に優しくできない人は、いくらお金持ちで頭が良くたって、中身スカスカのピーマンと一緒。栄養のない、苦いだけのピーマンだ。


< 91 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop