それを愛だというのなら
全然褒められている気がしないけど、きっとこれは健斗の照れ隠しだ。
私だって基本はネガティブで、今前向きなのは、そうしなきゃ残りの命がもったいないからで。
それに、どう頑張っても、ずっと隣になんていられない……。
それでも、今そんなことを言う気にはなれなかった。
「……うん」
うなずくしかできなくて、涙が零れた。
すぐそこに、別れが迫っているのがわかっているのに、この手を振りほどけない私を許して。
だって。
大好きなの。
今さら離れるなんて、できない。
健斗は私が感動して泣いていると思ったのか、黙って手を繋いでいてくれた。
私たちは日が暮れてあたりが暗くなるまで、ずっと並んで座っていた。