きらきらふわり
「きみ、パン、好き?」

「え?……」


そんな突拍子もないことを聞いてきたのは、私の期待した相手ではなく、見たこともない男の人だった。

考えてみたら、さっきの彼が私に声を掛けるなら後ろからになるはずで。

でも今声を掛けられたのは明らかに図書館とは方向が違う、隣接する児童館の方からだったから、当然といえば当然なんだけど。


「とりあえずそこ暑いから、ちょっとこっちに来ない?」


男の人は児童館前の木陰下のベンチにあぐらをかいて座っていて、人懐っこい笑顔を振りまきながら、くいくいと手招きをした。

一応きょろきょろと周りを見たけど、他に誰もいないし、もしかしなくても私に言ってるみたいだった。

ピンクと白の二枚重なった素材のランニングシャツに、ボロボロデニムの膝丈パンツ、足元はビーサン。

ここは海かって言いたくなるような恰好。



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