彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「失礼しました・・・!瑞希お兄ちゃん、実はー」
「凛道、スピードを上げるぞ!備えろ。」
「はあ!?」
(このタイミングで!?)
ギュアアア!!
文句を言う前に、車の走りが変わる。
「あ~~~~~~!?」
〈凛!?〉
こちらの言い分に聞く耳持たず(?)、切り捨てるように言うと、勢いよく加速する獅子島さん。
おかげで、シートへと身体がのめり込む。
いきおいよく左側へ曲がった衝撃で、顔がガラスに張り付く。
バァアン!
「あうっ!?」
〈どうした!?どうしたんだ、凛!?〉
「大丈夫です・・・顔が窓に激突しただけで・・・」
〈どこが大丈夫だ!?〉
「凛道!もう一度左だ!」
「あ~~~~~~!?」
〈凛!?〉
ギュアアア!!
ガツン!
「いたい!?」
シートから体は離れなかったけど、頭が天井にぶつかる。
〈マジでどうしたんだ、凛っ!?えれー音がしたぞ!?〉
「大丈夫です・・・!天井で頭を打っただけです・・・」
〈それも大丈夫じゃないだろう!?凛、強がらなくていいんだぞ!?今から助けに行ってやるから、落ち着いて状況を話せ!!〉
「み、瑞希お兄ちゃん・・・!」
私を心配してくれる瑞希お兄ちゃんの声で気が緩む。
それがよくなかった。
「凛道!」
「あ!?」
「邪魔だ!」
パーーーーン!
「いたい!?」
獅子島さんの方に持たれかけて、張り手で押し返される。
〈凛!?今度は何だ!?〉
「うう・・・大丈夫・・・獅子島さんに押しもどされただけです・・・」
〈俺には全然、大丈夫には聞こえないぞ!?つーか、伊織と一緒なのか!?〉
これに、「はい!」と返事をする前に、
ギュ、ギュ、ギューン!!
「凛道、砂利道だ!」
「ええ!?」
ガンガンガン!
「あ!?あ、あ、ああ!」
容赦なく、お尻へとかかる連続振動攻撃。
〈凛―!?何が起きてるー!?伊織がいるなら代われ!〉
「え!?でも・・・」
〈伊織の馬鹿と代われ、凛!あのくそ眼鏡が!凛に手ぇあげやがって!凛、ケータイを伊織に渡せ〉
「出来るか、馬鹿が。」
携帯を向ける前に獅子島さんが言った。