彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



「失礼しました・・・!瑞希お兄ちゃん、実はー」


「凛道、スピードを上げるぞ!備えろ。」

「はあ!?」

(このタイミングで!?)




ギュアアア!!





文句を言う前に、車の走りが変わる。





「あ~~~~~~!?」

〈凛!?〉





こちらの言い分に聞く耳持たず(?)、切り捨てるように言うと、勢いよく加速する獅子島さん。

おかげで、シートへと身体がのめり込む。


いきおいよく左側へ曲がった衝撃で、顔がガラスに張り付く。


バァアン!



「あうっ!?」

〈どうした!?どうしたんだ、凛!?〉

「大丈夫です・・・顔が窓に激突しただけで・・・」

〈どこが大丈夫だ!?〉

「凛道!もう一度左だ!」



「あ~~~~~~!?」

〈凛!?〉



ギュアアア!!

ガツン!



「いたい!?」






シートから体は離れなかったけど、頭が天井にぶつかる。



〈マジでどうしたんだ、凛っ!?えれー音がしたぞ!?〉

「大丈夫です・・・!天井で頭を打っただけです・・・」

〈それも大丈夫じゃないだろう!?凛、強がらなくていいんだぞ!?今から助けに行ってやるから、落ち着いて状況を話せ!!〉

「み、瑞希お兄ちゃん・・・!」




私を心配してくれる瑞希お兄ちゃんの声で気が緩む。

それがよくなかった。




「凛道!」

「あ!?」


「邪魔だ!」


パーーーーン!




「いたい!?」





獅子島さんの方に持たれかけて、張り手で押し返される。




〈凛!?今度は何だ!?〉

「うう・・・大丈夫・・・獅子島さんに押しもどされただけです・・・」

〈俺には全然、大丈夫には聞こえないぞ!?つーか、伊織と一緒なのか!?〉




これに、「はい!」と返事をする前に、





ギュ、ギュ、ギューン!!






「凛道、砂利道だ!」

「ええ!?」



ガンガンガン!


「あ!?あ、あ、ああ!」





容赦なく、お尻へとかかる連続振動攻撃。





〈凛―!?何が起きてるー!?伊織がいるなら代われ!〉

「え!?でも・・・」

〈伊織の馬鹿と代われ、凛!あのくそ眼鏡が!凛に手ぇあげやがって!凛、ケータイを伊織に渡せ〉


「出来るか、馬鹿が。」





携帯を向ける前に獅子島さんが言った。



< 134 / 715 >

この作品をシェア

pagetop