彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



可愛い形のカステラを受け取って、マスクの下から口に運ぶ。





「おいしー!?」

「美味しいです。ありがとう。」

「えへへー!どういうたしまして!大変だね、花粉症!」

「ええ・・・まぁ・・・・・」

「ところでさ!今度合コンしない!?」

「合コンはもういいです!」

「もういい?」

「あ!?いや、僕は、興味ないから・・・」

「ん~もしかして、チョコたんが元気ないのはそれ?」

「っ!」





とっさのことで否定できなかった。

違うと言えばいいのに、即答できない。





「あ・・・その・・・」

「なになに?他の男子が狙ってた子が、チョコちゃんも狙ってた感じ!?」

「そうじゃなくて!そういう、ありきたりじゃなくて・・・

「じゃあ、俺に相談しなよ!」

「え?俺に話してみてじゃなくて?」

「相談するべきだって!俺、地元じゃ毎週合コン行ってるから、修羅場には詳しいよ!」

「あまり聞かない詳しいですね!?」

「言っちゃえ、言っちゃえ!チョコたんのお兄ちゃんよりも、合コンのイロハは俺の方がマスタークラス系じゃねぇ!?」

「そうですね・・・トラブルになるぐらい、うちのお兄ちゃんは参加してないと思いますし・・・。」



(彼に・・・ちーちゃんに話せば、楽になれるかな・・・?)





この時、自分でも何故そう思ったのかわからない。





「ちーちゃん、実はね・・・」

「ウェイウェイウェイ!離す気になった系!?よっしゃ、バッチコーい!チョコたん!俺、受け止めるよん♪」

「ありがとう・・・」





見るからにチャラい奴に、どうしてしゃべってしまったのか。

きっと、頭が黒髪だったから、黒髪=染めてない=普通の人ラインと判断したのかも。

あるいは・・・・・



(・・・彼は、暴走族や喧嘩の世界と、龍星軍と無関係の人だから・・・)





かかわりあいがない立場なので、言える気になったのかもしれない。






(真面目には聞くかな・・・)





ぼんやりと考えながら、目を輝かせている相手へと口を開いた。



< 423 / 715 >

この作品をシェア

pagetop