彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
公衆電話を目指して走る。
テスト期間なので、みんな早々と下校していてよかった。
周囲を警戒しつつも、並んで走るヤマトに聞いた。
「ヤマト!電話がかかってきたのはいつ!?」
「ちょっと前や!」
「じゃあ、テストが終了してからですね!」
「え?始まる前やでー?」
「はあ!?始まる前だとっ!?」
「そやねん!人が漢字と向き合ってる時に、ややこしいこと言いくさって・・・こないもやもやした気持ちでテスト受けたから、きっとわし、漢文が一番悪いで~!?うははは!」
「馬鹿野郎!?もう1時間以上たってるじゃないですか!?」
そうなると、人質の生存確率が・・・
(下がってる!!)
〔★凛は悪い予感を覚えた★〕
「うははは!凛、ついたで~!」
「笑顔で言うな!マジで反省しやがれ!」
「すまん、すまん!ほな、10円!」
「10円で済みますか!?もはや、10円の会話で片付く話じゃなくなってますよ!」
ツッコミを入れながら、目当ての公衆電話の前に立つ。
続けざまに、お金を入れた。
「凛!?今、100円入れへんかった!?公衆電話は、10円で~」
「10円から使えるが、時間は100円分はかかります!はやくボタンを押せ!」
「なんだい、店の前で大声を出して~」
「うはははは!すんまへーん!携帯落したんで、ショップにかけるとこでーす!」
昔ながらの煙草の窓口から顔を出す老女から、私を隠しながらヤマトが誤魔化す。
「はぁ~そりゃあ、なんぎだね・・・長電話になるなら、両替ぐらいはしてやるよ。あたしゃ、暴れん坊将軍を見てるから・・・」
「おおきに!うはははは!」
おばあさんに愛想よく笑うと、首だけで私を見てから低くうなるヤマト。
「静かにせんか、凛!」
「くっ、ご、ごめんね!わかったから、早く電話を~」
「まかせとき~!」
そういうと、早打ちで、計11回ボタンを叩く。
「うはははは!頼むで!通じてや!」
「本当は、1時間前に言ってほしかったですけどね。」
耳に受話器をあてて、相手が出るのを待つ。
というか、本当にあってるかな?
プルルル、プルルル、プルルル、ピッ!
〈・・・もしもし。〉
一応、出るには出た。
男の声。
受話器に耳を近づけていたヤマトを見れば、親指を立ててうなずく。
あってはいるらしいが、念のために聞いた。