さよなら、もう一人のわたし

 一ヵ月後、母から呼ばれた。
 彼女はまっすぐな瞳でわたしを見据えた。

「頑張ってね」

 彼女は肩をすくめると微笑んだ。

「いいの?」

 彼女は頷く。

「あなたの人生だから、好きなように頑張りなさい。でも、自分で決断したことだもの。人のせいにしたらだめよ。うまく行かなくてもそれは自分の責任。そう思えるなら頑張りなさい」

 わたしは頷いた。

「ありがとう。お母さん」

 一ヶ月も何も言われなかったのでダメだと思っていた。
 わたしは母と成宮秀樹の間でどんな話が行われたのか全く知らなかったし、知る術もなかったのだ。
 ただ、このときは自分の夢が叶うことがただ嬉しくてたまらなかったのだ。

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