大切な人へ

はぁ... はぁ...



唇が離れ 力が抜ける...


彼の腕の力も緩まって

彼の顔が見えるようになってく




ドクンッ...





私を見つめる瞳は、トロンとしていて
とても艶っぽくて...色気を感じた


きっと私も同じ顔をしてる



彼の耳元で囁く__

『触って?』


触れてほしい

求めてほしいの

私だけの先生でいて?



でも彼の返事はなかった

先生は目を閉じて俯いてしまう





『私じゃ...だめなの?』


彼の手が優しく背中に触れる

「大事だから...」



どうして...?


わからないよ



わかるけどわかんない





私のすすり泣く声だけが部屋に響いた







< 113 / 192 >

この作品をシェア

pagetop