大切な人へ

『好きだったら...当たり前のことでしょ?』



「好きだけど 俺は彼氏じゃないよ?」

涙が堪えられなくて俯く私に
落ちてきた彼の言葉が心に刺さる


解ってる...
だからこんな事したの 繋ぎ留めたかった


『じゃぁ 先生に彼女ができたら
その人とするんでしょ...?』

やだよ...

そんなの絶対にいやだ



「美優もそうだよ?
他に好きな人ができて彼氏ができたら...」

『いいの?』

小さい声で諭すように言った彼の言葉に
かぶせる様に返す

本気で言ったんじゃないよね...?



『先生はそれでもいいの?』

「それが...普通なんでしょ?」

『やだよ...先生が他の人に触るなんていや‼
私も他の人なんていやだ‼』

わがままばっかりだ
自分のことしか考えられない


「わかった...美優に他に好きな人ができるまで
俺も他の人には触らないから」


『そうじゃない...』


涙がとまらない

これ以上続けても

彼の口からは私の望む言葉は出ない

言わせたくないことばっかり言わせた





彼が口にしたくなかったことまで...

私は言わせちゃったんだ



先生は俯いたまま動かない

でも...

前髪の隙間から見える



彼にこんな悲しそうな顔をさせたのは私

それにまた胸が裂けるように痛む






ごめんなさい

自分の感情で私はどれだけ
あなたを傷つけたの?



人は欲張りな生き物だっていうけど
私も もれなくそうだった...

始めは彼の笑顔が見れるだけでよかったのに

好きって言ってもらえて
キスしてくれて

あんなに幸せだと思ってたのに

どうして彼を責めちゃったの


全部自分のものにしようとしたの...








私は悪い子...

だから罰があたったんだ...

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