大切な人へ

「…今だけだよ
痛いのも気持ちわるいのも」

ポンポンって背中を撫でてくれる…

「体…どこが痛い?」


どうしてそんな事聞くの…

言いたくないよ…



「傷 見せて…全部」



え__?


何言ってるの…

首元のカッターで切られた傷に
彼の指が触れてピリッと痛む


「痛かったね…」 …⁉

先生はそこに軽くキスをした…


『やめて… 待って…』

「体は?どこ切られたの?」


腫れがひいた頬に唇が触れたまま話す
先生の声に、息に、心音が加速する

「美優?答えて…」

苦しいの?そんな声に聞こえて
顔をあげると彼の前髪が目もとにかかって…

温かい唇がふわっと重なった



私を見つめる切なく少し潤んだ瞳…

泣いてるの…?

『先生…?』





「…ちゃんと消毒してる?」


…‼

彼の指が私の服のジッパーを下げていく

『ダメ!見ないで!』

「手冷たい…
脱いだら寒いからエアコン上げようか」

うそうそ…本当に見るつもりなの?



『待って…やだよ…本当に汚いの』

「汚くないからっ」

まっすぐ真剣な顔でそう言って
はだけた胸元に視線を落とす…


「ほら...白くて綺麗だよ?」

肌に直接彼の手が触れて
首元から鎖骨を通って肩にかけて撫でていく


今は触ってほしくないのに
恥ずかしいのに

ドキドキして嫌じゃない…




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