大切な人へ

朝がきて

顔の腫れも目立たなくなっていて
新品の制服を着る サイズも同じだった



でも…どうしても行けない


教室が怖い 外が怖い
みんな本当に知らないのかな…


学校に電話してもう1日休みたいと言ったら
担任が出て何も聞かずすぐに了承してくれた

先生達はみんな知ってるよね…

今日は金曜日 来週の月曜日は終業式
最後の授業だったのにな…


私は部屋で時間割通りに1人で勉強した

______________


5時を過ぎるとまたチャイムがなる

『先生…
来てくれるのは嬉しいけど無理しないで

2日前から私にかかりきりで疲れてるでしょ?』

「全然?俺体力あるから‼」

明るく笑って言ってくれるけど…

『だってまだ5時過ぎだよ?
今までもっと遅かった!仕事… 』

「大丈夫だから。そんな事気にしないで」

『先生だから気にするの…無理しないで』

助けてもらってまた迷惑なんてかけたくない
負担になんてなりたくないのに


頭を撫でてくれる彼の手を掴むと

近い距離で目が合ってしまった…


彼の目がまともに見れず離れる



「美優…こっちおいで」

そっと抱きしめられる 体を気遣う先生の腕

先生はこの前から名前で私を呼ぶようになった…


もう湿布の外れた頬に手が触れる

「腫れ。もう良くなったね」

先生の顔がすっと近づいて__



だめ‼

とっさに横を向いて避けた
初めて彼からしてくれようとしたのに…


『きたないから…私』

先生に触れられる資格なんてないよ…
どれだけ洗ったって汚い…


「美優は綺麗だよ…」

大丈夫って包み込んでくれる

『自分が気持ち悪い…
先生にこんな体…
先生以外に見せたくなかったのに…』


涙って…どれくらい出るんだろ…
枯れない涙で目が痛い…



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