大切な人へ

ー先生sideー


終業式の後 雨音が響く科学室で1人こもる

”負担になりたくない お仕事頑張って”

彼女の言葉を思い出し集中する


とりあえず終わったのは夕方になるころで
食事もとっていなかったため帰ることに

雨もまだ降っている中ゆっくり走っていると
目に飛び込んできたのは体操服の女の子...


近付くにつれ美優だとわかった
こんな時間にそんな格好で何があった?

聞きたいことは山ほどあったけど
彼女は言いたくなさそうだった...

ちらっと見えた服に刺繍された井川の文字
嫌な想像がふくらんでいく...



なにかされた?触られた?
嫉妬心で満たされていってしまう


何もなかった


ただ泣いていた時に抱きしめられた




...その意味がわからない?




強引にキスされた方がよっぽど安心したかもしれない



どれだけ愛されてるか..大事にされているか



あいつの気持ちが俺には痛いほどわかる



わかるけど...美優を渡したくない...

彼女のことを思えば俺が身を引くことが

絶対にいいと思うけど

そうできないくらい俺も愛してしまっている

自分勝手な気持ちで
あいつの行動の意味を教えない俺は



やっぱり最低かな...


< 149 / 192 >

この作品をシェア

pagetop