大切な人へ

『今日は色々とありがとうございました…』

申し訳なくて深々と頭をさげる

「いいって 笑 というか俺も…ごめん」


一瞬なんの事か分からなかったけど
すぐ思い出して赤面する


『あれは事故です!忘れてください!』

慌てまくる私をまたクスクス笑う先生…



「でもさ。藍野さんって
しっかりしてる様で意外と…」


そこで言うのをやめる先生は意地悪だ
でも返す言葉もないです


「足、まだ痛い?」

ジンジンする痛みがまたあるくらい

少しだけと伝えると 先生はトランクから
何かを持ってきた スプレー?


「靴脱いで足上げて?」 は?
「早く」

どうやら本気の様でしぶしぶそうするが
その前に足をシートで拭いているとまた笑われる



「女の子だねぇ
うちの陸上部にはそんな子いないよ」

そう言いながら痛いあたりを優しく揉んでくれる



『先生って陸上してたから体力あるんですか?』

そお?っと返事をしながら手元を見ている


『身軽な感じだし…力もあるし』

「男だからね 女の子守るくらいはできるよ」

男という言葉にまたドキっとしてしまう




「藍野さんは女の子だし、まだ若いんだから
もっと周りを頼ってもいいんだよ?」

俯く私に先生は続けた


「今日も謝ってばっかり。遠慮しすぎだよ
気を使えるのはいい事だけど
頑張り過ぎなくてもいいんだよ」



……どうして

何もかも知っている様に言うの…



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