大切な人へ

頼ってもいいんだよ__


ずっと頼らずやってきたつもりなの…

頼っちゃいけないって
私は1人で頑張らなくちゃって…



だめだ泣きそう…


『あ…もう大丈夫…』


そう言って足を引くけど離してくれない

先生の視線が痛い
離してくれないと… ほら…


__ポタッ __ポタッ


そっと頭を撫でてくれる温かい手


「頼りない?俺も…周りも」

『…優しすぎです』

少し首をふって答える



「俺ね、1人で大人数相手にするの苦手なんだ。すぐ緊張もするし」

先生はたまに急に話を変えるときがある…


「だから授業下手だろうなって思う」

『そんなことないです!解りやすいですよ!』

「でも勉強聞きに来てくれたでしょ?」

『あれは…私がもっと基礎でつまずいてたから』

「うん。でも嬉しかった。聞いてくれて

俺まだ新米だし…こんなに質問しにきてくれたの初めてでさ。
その後成績も上がったからすごい嬉しかった」


先生は少し照れた様に嬉しそうに話してくれる


「客観的に見てくれた意見って勉強になるんだ
藍野さんのお陰で俺も勉強させてもらった。

これからも何か思うことあれば教えてほしい
俺は藍野さんを頼りにしてるよ?」


先生が…私を?


不純な動機で始めた勉強会だったけど
先生に質問するために私は今までにないくらい
科学の勉強をした 授業にも集中した

先生の時間を無駄にしたくなかったから
でもそれが先生の為にもなっていたんなら…

嬉しい_______



『先生の為なるなら…喜んで』



目を細める彼に私も微笑んだ



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