大切な人へ

「向こうも2人だし大丈夫だろ!

下見てたら危ないし中見ながら探そ」


そうだよね...

また着信に気付いたらかけてくれるはずだし



中に行くと大きめの音楽が流れていて

お祭りの雰囲気に楽しくなる



『わー!見て見て!綺麗で美味しそう!』

彼を引き留めたのはりんご飴屋さん

りんご、みかん、ぶどう、いちご

鮮やかな色でキラキラしていた



「どれが好き?」

彼のいつもと違う優しい声に気付かずに


『いちごかな~♪ぶどうもおいしそうだけど』

小さい子に混ざってキョロキョロ



「すいません。いちご1つ」

『え!?』


まいど!と言っておじさんは
おまけに2つ小さなぶどう飴をくれた


買ってもらうなんて悪いと財布を出しても
受け取ってくれない


「じゃあさ...」



__え?どうして?


またお金を出した彼が言ったのは

「1人で並んでお好み焼きを買ってきて」




「はい!おまけしといたよ~」



次はベビーカステラよろしく

「可愛いねえ!サービスだ」


ずっしりと重い2つの袋を渡すと
井川くんはジュースを買ってくれていた


「サンキュー!やっぱりな!
藍野が行くとおまけしてくれると思った」


それを見越して私に買わせたらしい
彼はまた少年の顔で笑ってた


私たちはそれを持って
花火の見える場所に向かった




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