ラブ パラドックス
「あなた、これから先迷ったときには直感を信じなさい。そうね、あなたなかなかいいわね。大きな苦しみから脱した今、光しか見えないわ」
予期せぬ発言に、鼓動が強くなる。何と言ったらいいのかわからない。
「あの日のあなたの行動が今を作っているのよ」
そう言って、占い師は重そうな荷物を抱え去っていった。
あの日。
それがどの日を指すのかわからない。
何かを選択した日かもしれないし、特別な日かも、そうでない日かもわからない。
ただ、俺という人間を肯定された気がした。
「なんか…すごかったね。よくわかんなかったけど」
「そうだな」
「帰ろっか」
今の俺があるためには、泳げなくなる必要があった。そうでなかったらこの職業についてなかっただろうし、当然凛子にも出会わなかっただろう。
あの時のあの苦しみは、その時は耐え難いものであっても。
アーケードを抜けると、ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。
「こけるなよ。駅まで走るぞ」
凛子の鞄を持ってやると、「ありがと」と微笑んだ凛子が愛しくて。
俺は今、とても幸せだ。