ラブ パラドックス



憂鬱な梅雨が明け、夏空とともに猛烈な暑さがやってきた。

今日は土曜日で、現在時刻は午前10時。エアコンの効いた凛子の部屋で、お互いベッドに腰かけゆっくりと過ごしている。


俺は暑さは平気だが、凛子はそうではないようで、外に出たがらない。

今日はこのままずっと部屋で過ごそうという凛子の提案で、俺は映画でも見たいなと思いスマホを検索している。テレビに飛ばして、凛子と見れるようなものを。

凛子も同じくスマホで何か動画を見ている。その眼はとても真剣で、瞬きすら忘れているように見える。


おい。映画なら一緒に見ようぜ。

そう声をかけようとしたとき、凛子は突然動画を止め、スマホを手放したので、俺も一旦スマホをやめた。


「ねえ、明日プール行かない?海でもいいよ。あ、でも…嫌い?」

申し訳なさそうに俺の顔をのぞき込む。


「いや、競泳やめただけだから気を使うなよ。どっちでも行こう」

「ほんと?やった。あ、でも陽の身体に女子たちが惚れてまうやん」

「なんで関西弁なんだよ」

「待って。水着持ってるの?まさかあの大事な部分がポロリしそうな小さいやつ?」

「んなもん履かねえよ。ちゃんと普通のやつ持ってるよ」

「よかったー、安心」


「ふざけんな」とベッドに倒す。凛子が「ごめんごめん」と起き上がろうとするたび、何度も手で押しそれを阻む。

大事な部分がポロリ、とジェスチャー付きだからな、こいつ。

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