ラブ パラドックス
「え、まさかのペーパーウェイト?」


水晶玉を、しれっと紙の上に置くもんだから、ついつっこんでしまった。言われ慣れているのか、集中してるからなのか、おばさんは表情を変えない。

わあ、よくみると、水晶玉の下の部分、平らになってる…

ますます胡散臭いな。



「私は、姓名と筆跡、バランス。対面したときのインスピレーションから占うの」

「はあ…あの、何を占ってほしいとか、聞かないんですか?」

「聞かないわよ。だってあなた、占術に対して懐疑的でしょう」

驚いた。顔に出てただろうか。


「あなたは、しっかりしているように見られがちだけど、心の底から強い人間ではないわ。本音は甘えたい。わがままを言いたい。でもそれはできない」


持ち手を握る手に力が入る。爪の先が、手のひらにくいこむほど。


「あなたは、人に自分の弱い部分を見せられないのね。育ってきた環境が大きく影響してるわね。高校3年生のころからかしら」


肩を叩かれはっとした。夏目くんが、大丈夫かと声をかけてくれる。


「大丈夫大丈夫」と笑って答えたつもりだけど、うまく笑えていたか、自信がない。
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