ラブ パラドックス

「サラサラだな」

「トリートメントにはお金かけてる」

「食費削って?」

「そうそう」

「俺にはわかんねえ。その金の使い方」


くすくすと、一緒に笑った。

コテンと頭を預ける。


おでこが夏目くんの胸に重なる。


「こんな風に、たまには素直に人に寄っかかってみろよ。がんばりすぎんな」

「ん、」

「挫折から這い上がった男はメンタル強えぞ。お前ひとりくらい余裕で支えてやれる」


再び髪を撫でた手に、さっきより強く抱きしめられた。



声を上げて、泣いてしまいそうになった。


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