ラブ パラドックス
「昨夜は誠に申し訳ございませんでした…何卒、お許しくださいませ」

昨夜寝落ちしてしまうまでの全貌を思い出し、赤くなったり青くなったりしながら、なんとか謝罪の言葉を口にした。


「許す気ねえよ」


言い終わらないうちに、あっという間に抱いていた布団を奪われた。かと思うと、一瞬でベッドに押し倒され天井を仰ぐ。

床に座っていたはずの夏目くんが馬乗りになって、両手を押さえつけてきた。


「夏目くん?」

「お前よく言うよな、体で払うって」

「え?ちょっと、」

「払えよ。今すぐ」


夏目くんは真顔だ。


怖いくらいの視線に射抜かれ、動くことができない。でも不思議と、恐怖を感じない。

でもいや!


こんなの、夏目くんじゃない!
< 95 / 294 >

この作品をシェア

pagetop