ラブ パラドックス
「スーツ屋のイケメン店長とどうなってんの?」

「どうって別に…」

「連絡とってんだろ?会ってるのか?」

「仕事帰りにちょこっと会った」

「ふーん」


出た!ふーん!

確か、新調したスーツを取りに行った時のことを聞かれて答えたときも、返事がふーんだった。

でもそのあと、デートしようって誘われたんだっけ。


興味がないのか、何なのか。

ふーんの一言に、夏目くんの真意が隠れてしまってわからない。


「もしかしてもう付き合ってるのか?」

「付き合ってない」

「まだ?」

「まだじゃない」

「ふーん」

「これにはちゃんと理由が存在するんです」

「理由って?」


夏目くんが怪訝な顔をする。


私は日々、素直になろう、変わろう、とあがいているのだよ、夏目くん。


素直な気持ちを聞いてよね。

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