ラブ パラドックス
「わたし彼氏欲しいってずっと言ってたけど、もう違うから。次はちゃんと好きな人と付き合いたい」

「へえ、」

「だから、激しく彼氏募集中って人に言いふらさないでよね」

「ああ。でもまた店長と会うんだろ?」

「うん。今度はゆっくり会おうって言われてる」

「飲みにか?」

「そうなるだろうね。でも勤務形態合わないし、わたしたちこれから忙しくなるでしょ?セミナーとかで。だからいつになるか」


ふーん。だと読んでいた返事はなく、夏目くんはため息を吐いた。


「水飲みたい」

「あ、うん」


スマホをカウンターに戻し、回れ右して冷蔵庫を開けると、背後から伸びてきた手が扉を閉めた。

勢いよく、バタンと。


「わ!びっくりした」

「飲みに行くな」


振り返ると、夏目くんがすぐ後ろにいた。

目の前に、裸。

見上げれば夏目くんの真剣な顔。


カっと顔が熱を帯びる。

ドキドキとはやる鼓動。


今すぐ冷蔵庫の中に入りたいくらい暑い。暑すぎる。
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