放ったボールが虹を描けば
北ヶ原学園のクラブ数はかなりある。
しかもそれぞれが活躍をするから、私たち新聞部は、度重なる大会の取材に行くだけで精一杯。
だから、長期間を要する密着は、なかなかできないんだ。
でも、
可能性が低くても、
実現するのがいつかわからなくても、
何もせずに眺めているだけなんて、嫌だった。
先輩に、少しでも近づきたい。
「向こうのキャプテンには私から話しておくから。
早速明日からよろしくね」
部長が、まだ興奮ぎみの私に言った。
「はい、わかりました!」
「………わかってると思うけど、
密着期間は1ヶ月後の大会までだからね?」
「………………はい、大丈夫です」
私が先輩に近づけるのは、たった1ヶ月。
それが終わればまた、今の生活に戻ってしまう。
そうならないように、少しでも距離を縮めたい。
「よーし!頑張るぞ!!」
大きく意気込むと、なっちゃんにうるさいと怒られた。