虚無たちの葬失




「……こんな……こんなに……自分がバカらしくなるくら、いの、虚しさなんか……感じたこと、なかった」




純也が振り向き、大量の涙に汚れた顔で各所に佇む四人を見た。



遥は目を伏せてポニーテールの先に触れ、美緒は無意識に本の表紙を撫でる。



和真は茶髪の頭をとっさに押さえ、誠は目を逸らして腕を組む。



純也は口元に引きつった笑みを作り、また廊下の方を向いた。




「……俺たちは、
ニヒリストでもなんでもなかったんだ」




虚無主義者というには、彼らはただ、若すぎた。




「……俺は……体育館の雨樋を見に行く。本当に雨樋にカッターナイフがあるかどうかなんて……わからない、から」




純也は四人を置いて、教室から出て行った。



がらんどうの茜空の下では、生徒たちの笑い声が絶え間なく響いている。



















一人の男子生徒によって壊された雨樋から見つかったのは、泥と雨水、埃にまみれた青い柄のカッターナイフだった。



歯はずいぶんと錆びており、柄には赤い糸が巻き付けられていた。



そして、カッターナイフの柄には、糸と共に、一枚の紙がビニール袋に入れられて固定されていた。



その紙には、薄れゆく意識の中で彼女が何を思っていたのかが、赤裸々に綴られていた。



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