僕と道化(ピエロ)と君の恋
 「やっぱり……覚えてないんですね?」

 「え?」

 その言葉は『僕』の中の何かに触れた。

 『葵ちゃん!』

 頭の中で『僕』の声が響き、全身の力が抜けていく。

 マコト……

 脱力感から開放され、眼を開いた僕は『中』にいた。

 そうか……入れ代わったんだな。

 「マコトさん?どうかしました?」

 俯いた『僕』の顔を下から葵ちゃんは覗き込んでいた。
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