青藍のかけら
「それより、美形が多いって女の子もいるんでしょ?千尋、狙ってるコとかいないの?」
「いや、今んとこない。」
「そっか…」
千尋は前の彼女と別れてもうずいぶん経つ気がする。
やさしい性格だし、相当美形だからモテるのに、千尋は彼女と長く続いたことがない。
告白されて付き合っても長くて数か月だ。
まぁ、私も人のこと言えないけど…
でも、私と違って千尋は人当たりもいいし、誰とでもすぐ仲良くできる人だ。
それなのに続かないのは、やっぱり私と似た理由なのかもしれない、と漠然と考えていた。
「いらっしゃいませ」
店内に案内されて、思わずぽかん、としてしまった。
「みんな美形ばっかでしょ」
千尋の言葉に頷く。
「…ホストクラブにでも来た気分」
「ホスト行ったことあるの?」
「ないけど」
「だろうね。俺というものがありながらそんなとこ行ったら許さないよ?」
「はいはい」
これ絶対兄弟の会話としておかしいよね?と思わないでもないが、まあいつものことだ。