リアルな恋は落ち着かない
(じゃあ・・・やっぱり、『おもしろい観察対象』・・・?)


・・・って、先輩相手に失礼すぎる!!

きーっ!と心の中で怒ったり、優しい顔を思い出し、やっぱりドキドキしてみたり。

ぐるぐると考えては、自分に何度もツッコんで、頭の中はパニックだった。


(困った困った、どうしよう・・・)


こんなとき。私は、いつものように本棚の上のはなこちゃんに目を向けた。


(はなこちゃんは、どう思う?)


すると彼女は、『うーん』と一瞬考えてから、『わかんないけどファイトだよ!』と励ましてくれたようだった。


(うん・・・そうだね・・・)


日曜日、どんな心持でデートに挑むべきなのか。

そもそも、実際に行くべきものなのかって、この時点でも迷ってる。


(行きたくないけど・・・行かないと、オタクをばらすと言われたし・・・)


うーん・・・。


(・・・って、やだ!私、五十嵐くんの連絡先を知らないよ・・・!)


プライベートのメールアドレス。

電話番号だってもちろん知らない。


(ももさんは知っているけど・・・。理由を言ったら、『断るなー!』って逆に教えてくれなそうだし・・・)


「・・・はあ」

これはもう、「行く」しか道はないかもしれない。

断ろうにも、当日に言うしか断る術がなさそうだった。


(それはさすがに申し訳ないし・・・。もう、ちゃんと、覚悟を決めよう・・・)


ついに私は、日曜日にデートに行くことを心に決めた。

けれど次は、「じゃあ何着て行こう」「行きたい場所ってどこだろう」と、新たな悩みがどんどん溢れて止まらなくなったのだった。








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