リアルな恋は落ち着かない
「ただいま・・・」

「お。おかえり優里菜。久しぶりだなー。遅かったじゃん」

「うん・・・」

家に帰ると、数日ぶりに会う兄がいた。

父も母ももう眠っているらしく、彼はリビングの大画面テレビでアイドルグループ「ラブリボン」のコンサートDVDを満喫していたようだった。

「優里菜も見るか?かわいいぞ」

「・・・ううん。いい」

そっけなく返事して、私はすぐさま自室にこもった。

そしてベッドに転がって、さきほどのことについて必死に頭をめぐらせた。


(どうしよう・・・。デート・・・。デートって言われた・・・)


五十嵐くんは、私に興味がわいたと言った。

「興味」って、おもしろい観察対象にわく感情のことを指すのだろうか。


(そうだ・・・。飲み会の途中には、『おもしろい』って言われたし・・・)


やっぱり、おもしろいって理由で、からかう対象として、私をデートに誘ったのかな。


(でも『デート』って・・・。恋愛が絡む響きがあるけど・・・)


コスプレ姿を「似合う」と言われた。

26歳のセーラー服を、かわいかったと表現された。


(まさか本当に・・・五十嵐くんが、私を好きになったとか・・・?)


「・・・」

い、いや!ないでしょう!!

なんて自意識過剰なのだと私はひとりで恥ずかしくなる。

彼はあの通りかっこよくてモテるだろうし、「イタい」と認識している私を、好きになんてならないだろう。
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