リアルな恋は落ち着かない
そう言って、向坂部長は手に持っている資料を掲げた。

小さな文字でよく見えないけど、なにやらいろいろ書いてあるよう。

「明日から、テレビの取材が来ます!」


(・・・えっ!?)


「ラブリボンって、アイドルグループは知っているよね?その彼女たちが出ている・・・『ラブリボンの毎日カラフル☆』という番組なんだけど。

あれの『密着お仕事一週間』というコーナーに、うちのプログラマーを出してほしいということなんだ」


(ラブリボンと撮影の仕事・・・)


部長の発表に、フロア中が騒ぎ始める。

ラブリボンと言えば、うちのお兄ちゃんも大好きなトップアイドルグループだ。

兄が聞いたら、卒倒してしまうかも。

「明日からって、ずいぶん急ですね」

「うん。実は、他の会社で撮影する予定だったんだけど。いろいろ事情があって、そこの会社でできなくなったらしくてね。

それで、番組のプロデューサーの人が困って、うちの社長に相談してきたらしいんだ。

・・・あ、そのプロデューサーっていうのが、うちの社長の大学時代の後輩ということなんだけど。

取材の日程はずらせない、プログラマーの仕事を撮りたいってことで、タシロワークスに協力してもらえないかと相談されたそうなんだ。・・・で、社長は『うちでよければ』って返事をしたらしいんだよね。

だから、かなり急なんだけど。明日からテレビの撮影が入ります」
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