リアルな恋は落ち着かない
「社長のご指名だもんね」

「・・・意味わかんないですよ」

確かに、かっこいいしテレビ映えはするだろうけど、五十嵐くんは目立ったりするのが好きではなさそう。

社長のご指名がなかったら、なにがなんでも断っていたかもしれなかった。

「・・・橘内さんは?オトメゲームは進んでますか」

テレビの話題がいやなのか、彼は私に話題を振った。

今度は私が話しにくいけど、質問されたらついつい答える。

「うん・・・前は毎日やってたんだけど、最近は忙しいのもあって。あんまり進んでいないんだ」

話しながら、私ははっと気がついた。

そうだ。忙しくたって、それを癒やすために以前はあんなにやっていたのに。

最近は、光之助とのデートはすっかりおざなりになっていた。


(もしかして、リアルに好きな人ができたから・・・?)


それに気づくと、自分自身、ちょっと複雑な感じがした。

嬉しいような、恥ずかしいような、それでいてやはり浮気をしたような、そんな気持ちが否めない。

悶々とする私の横で、五十嵐くんは問いを続ける。

「でも、ああいうキャラの彼氏って、毎日しないとすねたりとかしないんですか」


(キャラの彼氏・・・)


そこにちょっとひっかかりつつ、ここは光之助の名誉のためと、私はきちんと説明をする。

「うん。私がやっているのは、ドラマみたいな感じなの。だから何日か休んでも、ドラマが一時停止するようなもので、すねたりとかはないんだよ」

「へえ」

「それに・・・そうだな。光之助は硬派だから。もしそういう機能があっても、すねたりなんてしないと思う」
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