リアルな恋は落ち着かない
会社に着く少し手前。

コンビニに寄るという五十嵐くんと別れ、私は一足先に職場に向かった。

そしてロボット開発部のフロアに入ると、中は想像以上にバタバタしていた。

「こ、この椅子に座ってもらえばいいのかな」

「そうだな。それがいちばんきれいな椅子だ」

「お茶菓子とか、出した方がいいんでしょうか!?」

「うーん、悩むな・・・。とりあえず、コーヒーくらいは出さないとだな」

これからまりんちゃんが来る。

そのため、男性陣は必要以上に浮足立っているようだった。

懇意の取引先にもしないであろう対応を、みんな必死で考えていた。

「・・・まったく。騒々しいったらないですよ」

私が席に座るなり、近寄ってきた美瑠久ちゃんは、挨拶もそこそこにあきれ顔でため息をつく。

「こっちは無理矢理頼まれたのに。まるで、お姫様でも迎える感じ」

「うん・・・。アイドルだから、お姫様みたいなものなのかな」

フロア中の男性陣が、落ち着きなくそわそわしている。

いつもオトナな阿部課長も(いまだに私はそう見える)、普段通りにしているつもりのようだけど、やっぱり気にしている感じ。

唯一の女性の先輩、井崎さんだけは全く関心を示さずに、ひとり黙々と仕事をしていた。

そんななか。

「おはようございます」

遅ればせながら、落ち着き払った五十嵐くんが現れた。

するとみんながサササと駆け寄り、彼に必死で意見した。
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