リアルな恋は落ち着かない
「か、髪とメイクがOLのままだからかな」

「まあ、それは確かにあるだろうが・・・」

「うーむ・・・」と唸りながら、ももさんは私に顔を近づけて、さらにじーっと見つめてくる。
 
私はさらにドキドキとして、身体を少しのけぞらせた。

「ゆりりん。さては、リアルに恋をしているであろう」

「!?」

思わず、咄嗟に手にしたレモンの輪切りを、からあげの上にぎゅーっと強く絞ってしまった。

これはいくらレモン好きでも、苦情のくる量だと思った。

「し、してないよ」

「怪しいな。本当か」

「ほ、本当・・・」

私は、ももさんからドキドキしながら目をそらした。

するとももさんは私に近づけていた顔を戻して、「違うのか」と呟いた。

「美しさに磨きがかかった気がしてな。これはリアルな恋の仕業かと」

「ち、違うよ。本当に・・・私の彼は光之助なの」

言いながら、やけに酸っぱいから揚げを一個まるごとほおばった。

そのままもぐもぐしながら口をつぐむと、ももさんは「そうか」と言ってそれ以上の追求をやめた。


(ももさんに気づかれるとは・・・)


実は私には、ココロ密かに憧れている人がいる。


(でも・・・言えない。だって、阿部課長は既婚者だもの)
< 14 / 314 >

この作品をシェア

pagetop