リアルな恋は落ち着かない
昼休みに入ってまもなく。

席を立とうとした私に、美瑠久ちゃんが素早くタタタと駆け寄ってきた。

「橘内さん、今日、お昼一緒に行きませんか?」

「え?あ・・・どうしようかな・・・」

今日も私は、ひとりランチの予定だった。

けれど美瑠久ちゃんからのお誘い自体も、ちょっと久しぶりだった。


(ひとりが落ち着くけど、ずっと断ってばかりだったし。たまにはいいかな・・・)


そんなことを思っていると。

「あ、そこのお二人!ちょっと撮影いいですか?」

オレンジテレビの富山さんに、美瑠久ちゃんと二人で声をかけられた。

富山さんは、いかにも業界風の雰囲気をした、人懐っこい印象の30代半ばくらいの男性スタッフ。

その傍らには、まりんちゃんがにっこりとして立っている。

「女性社員と一緒のところも、少し撮っておきたいんですよ」

「あ!なるほど。いいですよ〜!」

富山さんの言葉に、ノリノリで答える美瑠久ちゃん。

なるべくテレビに映りたくない私は、ちょっと後ずさるけど。

「あ、キミも一緒にお願いね。大丈夫だよ〜。顔だしNGなら、後ろ姿にしますから」

「は、はい・・・」


(美瑠久ちゃんとまりんちゃんだけじゃ、ダメなのか・・・)


雰囲気に負けた私は、富山さんの指示通りの位置に動いた。
< 147 / 314 >

この作品をシェア

pagetop