リアルな恋は落ち着かない
女子3人で、仲良く話をしているというシチュエーションを撮りたいらしい。

私はカメラに背中を向けて、一番手前に立つ位置になり、私の正面で美瑠久ちゃんとまりんちゃん、二人が向き合う絵になった。

「はい、じゃあ、キミがまりんちゃんになにか説明している感じに見せて」

「はーい!」

富山さんの指示に、美瑠久ちゃんが元気に答える。

そして近くにあった資料を手にし、その内容をまりんちゃんに読んで聞かせる感じにした。

「・・・はい、いいですよ〜!どうもありがとう」

数分間の撮影が終わり、私はほっと息をもらした。

後ろ姿とはいえ、テレビに映るなんてかなりドキドキものだった。

「お二人とも、なかなか上手だったよ〜」

私と美瑠久ちゃんの演技を、富山さんが誉めてくれた。

それでちょっとほっとする。


(私は後ろ向いてただけだけど・・・美瑠久ちゃんは、なかなか堂々としてたよね)


美瑠久ちゃんも、数分とはいえ達成感があったのか、嬉しそうにウフフと笑う。

「実は私、昔スカウトされたことがあるんです!女優もいけたかな〜、なんて!」

「あ、そうなんだ〜。キミかわいいし、いいかもしれないよ」

「ははは」と、業界風の軽いノリで、富山さんが請け合った。

そして「ちょっと確認してくるからね」と、カメラマンの松本さんとともにその場をすっと立ち去った。

「はあ・・・緊張したね」

「ですねえ」

美瑠久ちゃんと二人で言い合い、まりんちゃんに「おつかれさまでした」と声をかけると、まりんちゃんは不機嫌そうに、小首を右に傾けた。
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