リアルな恋は落ち着かない
「お兄ちゃん、うるさいよ」

「あ、ごめん優里菜。ちょっとのってきちゃってさ」

ドアを開けると、予想通り、兄はラブリボンのDVDを見ながら、振り付けを一緒に踊っているところだった。

来月コンサートに行くとのことで、今から準備に余念がないのだ。

「もうすぐ12時だよ。下の階にも響いちゃうよ」

「あっ、もうそんな時間かー。すっかり夢中になっちゃって」

「ごめんごめん」と謝る兄。

黙っていればかっこいいのに、本当に残念で仕方ない。

「まったくもう・・・」

ため息をつきながら、私はふと、兄の机の上に目を向けた。

するとそこには、あろうことかまりんちゃんの写真集。

「・・・お兄ちゃん、まりんちゃんの写真集買ったの?」

「おっ。見られちゃったか〜。いや、元々は数カットだけ映ってる千尋ちゃんが目的だったんだけど。

やっぱりまりんちゃんもいいなあ、かわいいなあ」

「・・・」

石澤千尋(いしざわちひろ)ちゃんは、ラブリボンの中でお兄ちゃんの一押しメンバー。

小動物を連想させるルックスで、くるくると笑う元気でかわいい女の子だ。


(そんな千尋ちゃんが目的だったのに、すっかりまりんちゃんに心奪われている・・・)


お兄ちゃんに罪はないけど、私はちょっとむっとした。

「お兄ちゃんも、まりんちゃんか・・・」

「お!?ご、誤解するなよ!もちろん千尋ちゃん命だ!」

「でも、今かわいいって」
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