リアルな恋は落ち着かない
「いや。さっきから、すごくしんどそうな顔してるから。体調でも悪いのかなって」


(やだ。顔に出てたんだ・・・)


「すみません、大丈夫です」

「ほんとに?あんまり大丈夫にも見えないけど・・・。無理しないで。代われることがあったらやるから」

優しく言われ、思わず甘えそうになる。

こうした様子で課長が話しかけてくれるのは、とても久しぶりだった。


(でも・・・)


「大丈夫です。ここまではやっておきたいし・・・ありがとうございます」

「そっか・・・。うん、そこまで言うならまかせるけど。でも、無理しないで。なにかあったら言って」

「はい。ありがとうございます・・・」

頷くと、課長は私の頭にポンと手を置き、そのまま自席に戻って行った。

「・・・」

少し前まで憧れていた背中。

思わず、その後ろ姿をしばらく目で追ってしまった。


(頭ポン・・・。やっぱり、阿部課長はこういうことを自然にできちゃう人なのかも・・・)


五十嵐くんが言っていた、課長の評価を思い出す。

課長の優しさと、頭上に残った感覚にちょっぴりドキドキしながらも、深呼吸をして気持ちをぐっとやる気モードに立て直す。


(心配されないように、仕事はきちんとやらないと・・・)


こんなことで、仕事に悪影響が出るのはいやだった。

まりんちゃんには「こんな会社」と言われたけれど、私は自分の会社も仕事も好きだ。

もうあんなことを言われないよう、はなこちゃんのバージョンアップをいいものにして、会社の評価も上げてやるんだと自分に気合いを入れ直す。
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